読み書き

本を読んで、血となり肉となるようなことがありました。ものを書いて、いろんな人との出逢いがありました。

中国思想史を想う

(1)孔子

今や、一抹の信用もおけない国、嘘と欺瞞に満ちた国になってしまったけれど(それは日本も変わりない)、かの大国はその思想史において多くの賢者を輩出した。 歴史、ことに思想の歴史は、読むにあたって想像、これは思想の親戚のようなもの、の力を働かせる…

(2)孟子

乱世の不穏な空気の原因は、その君主の圧政にある。前時代の平和な時代は、国はこんなに民を管理し、刑罰・法律も、厳格でなかった。国が民に、法の圧力をかけては、その法をかいくぐって、逆に悪さをする人間が増えるだろう、と孔子は考えた。 何より、厳し…

(3)荀子

孟子の「性善説」を立たせた土台。・人間は、他人の不幸を哀れむ情をもっている。・人間は、悪事を恥じ、憎む心をもっている。・人間は、目上の者にへりくだり、譲る情をもっている。・人間は、物事の正、不正を判断する能力をもっている。「それなのに、な…

(4)墨子

墨子、その名の由来は、当時罪人には入れ墨が施され、この人にもそれがあったからだ、という説があるが、定かではない。 その思想は「兼愛」というもので、「人間を無差別に愛そう」とする博愛主義的な思想であったということだ。孔子の「家族愛」は家族限定…

(5)老子

戦乱時代に、さまざまな思想が起こった中で、あまりといえばあまりな考えを示したのが、老子と荘子だ。このふたりは、その戦国乱世をどうにかしようという発想を、全く持たなかった。 彼らは言った、「何もしないのがいい。何とかしようなどとするから、乱れ…

(6)荘子

「地上には野馬がゆらぎ立ち、塵埃がたち込め、様々な生物が息づいているのに、空は青一色に見える。あの青々とした空は、天そのものの本来の姿なのだろうか。それとも、遠く果てしないために、あのように見えるのだろうか。おそらくは、後者であろう。とす…

(7)朱子学、陽明学

結局、孔子に始まり、孔子に終わる…とまでは言わないが、あの「偉大な凡人」は浮かんでは沈み、沈んでは浮かび、ほとんどいつの時代にも必要とされた、思想史に欠かせぬ存在だった、という感がある。 その儀礼を重んじた格式主義、形式主義とでもいう考えは…

(8)最後に。老子についての疑問と

気になる存在、老子。 近代では、存在していたことは当然ということになっている。学者、研究者が、老子解釈に用いるのは、老子の生きていた時代に近い文献、残っている資料で、そこからさまざまに「老子の言いたかったこと」、その主張を明文化する。 私が…