読み書き

本を読んで、血となり肉となるようなことがありました。ものを書いて、いろんな人との出逢いがありました。

荘子

「荘子」大宗師篇、その十三

子桑戸しそうこ、孟子反もうしはん、子琴張しきんちょうの三人が、たがいに友となろうとして、語りあった。「おたがいに無関係でありながら、しかも関係をもち、相手のためにしないで、しかも相手のためになるような人間はいないものだろうか。 人為を離れて…

「荘子」大宗師篇、その十二

こんどは、子来しらいが突然、病気になった。 息もあえぎあえぎのありさまで、今にも死にそうである。 その妻子は子来の周囲をとりまき、泣きわめいていた。 そこへ子犂しりが弔問に来たが、このありさまを見て言った。「しっ、あっちへ行きなさい。造化者を…

「荘子」大宗師篇、その十一

子祀しし、子輿しよ、子犂しり、子来しらいの四人が、あるとき語り合った。「だれか無を頭とし、生を背とし、死を尻とすることができるものはないだろうか。 死と生、存と亡とが一体であることをさとるものはないだろうか。 もしあれば、友だちになりたいも…

「荘子」人間世篇、その十四

匠石しょうせきは家に帰った。 すると櫟社れきしゃの大木が夢の中に現われて、告げた。「お前は、わしを一体何に比べようとするつもりかね。 わしを役に立つ美しい木に比べようとでもするつもりか。 それなら言ってやろう。 すべて柤こぼけ・梨なし・橘たち…

「荘子」人間世篇、その十三

大工の親方の匠石しょうせきが、斉せいの国に旅をして、曲轅きょくえんという土地に着いた。 そこで櫟社れきしゃという社やしろの神木になっている櫟くぬぎの大木を見た。 その大きさは牛の群れを覆い隠すほどであり、その幹の周囲は百抱えもあり、その高さ…

荘子

荘子は「死の哲学者」と呼ばれていた。かれは、死を嘆き悲しむようなことは、けっして書かなかった。生きることばかりがヨシとされ、死ぬことが疎まれることを、「片手落ち」と判断していた。そう、死あっての生、生あっての死、どちらかが欠けてしまえば、…