読み書き

本を読んで、血となり肉となるようなことがありました。ものを書いて、いろんな人との出逢いがありました。

山川方夫

「狂う」ということ

最後にもう1つ、山川さんの短編を。「ゲバチの花」という小説。 前記のショートショートでは、かいつまんだら5、6行で終わってしまいそうで、引用することになったが、これは頭の中を辿れば書けると思う。それだけ、何回も読み返した小説だ。そして読み返す…

「夫婦の仲」

たった三ページで終わるショートショート。字数にすれば、2000字もない。 でもこの山川さんの作品、問答無用に愉しい。 ストーリーをかいつまんで紹介すれば… 六本木のおシャレなバーで二人は出逢った。 モダン・ジャズの話をし、彼は トウモロコシ製の I・W…

山川さん

「せっかく、米ソ二大国間で核実験の部分停止条約が成立したというのに、今夏の広島、長崎両市での原水爆禁止大会は、見ぐるしいありさまのままで終わった」 から始まる、山川方夫が新聞に書いていたコラムを全集で読む。 コラムだから、短い。が、やはり山…

山川方夫の世界

作家の柳美里は、けっして幸せといえない子ども時代を送っていた、と何かの記事で見たことがある。その彼女が、唯一やすらげた場所が、本の世界だった、と。 いわば現実逃避としての読書。 そういう本との対し方を、このごろ僕もしている。「三田文学」(慶…