読み書き

本を読んで、血となり肉となるようなことがありました。ものを書いて、いろんな人との出逢いがありました。

読書

白夜

ドストエフスキーの「白夜・おかしな人間の夢」(光文社文庫)を読んで考えること。 … 己を愛するが如く隣人を愛する、これを実現したのはキリストだけであったということ。 個我から無我になるということ。 他者を愛そうとして、自己より他者に重きを置くこ…

三島由紀夫

私は、この人の著書よりも、この人自身に興味をもつ。「悲劇を演じたいのだけれど、わたしがやると喜劇になってしまう」と、自分を言った、三島由紀夫。 何かになりきろうとしていた、プロレスラー的な人だったような気がする。 その最期は、精一杯の演技の…

遠藤周作「沈黙」と孔子の「論語」

2晩で一気に読んでしまえるすごい本であった。 昔々、ここ日本ではキリスト教を禁じていた。(「踏み絵」の時代) その頃、布教のためにはるばる来日を果たした宣教師の話。 「隠れキリシタン」と呼ばれた日本のクリスチャンたちは、当時拷問を受けたり殺害…

ソクラテスさん

あなたは、よくやった。よく、考えた。 ということを、2500年くらいですか、あなたが生きていた頃から数えて、ぼくは知ったつもりでいたりします。 プラトンさんのことは知りません。 ソクラテスさんのことも、実はあまり知らないのですが、今、それっぽい本…

ブッダのこと

私が最も好きなマンガに、手塚治虫の「ブッダ」がある。その何巻かの1ページに、「あの人のことを思うと、何か心が落ち着いて、大らかな気持ちになるんだよなあ」といったニュアンスを言う1コマがある。 これは、私のブッダへのイメージと一致するので、この…

ギリシャの神々

山室静の「ギリシャ神話」。 プロメテウスは、人間が大好きな神だった。人間に言葉を教え、ものを書いたり読んだりすることを教えた。家や道具をつくること、牛の乳をしぼれば飲めること、タネをまけば実が成って、食べれることも教えた。 原初の人間は、何…

「風邪の効用」

野口 晴哉(はるちか)の「風邪の効用」(ちくま文庫)。 この野口さんという人は、数少ない「本物」だと思う。整体の祖のような人で、子どもの頃から、かなり常人でない人であったと聞く。 ぼくはしょっちゅう風邪をひき、その度に葛根湯、偏頭痛の時はロキ…

カフカの「変身」

中学の頃、兄の本棚にあった文庫本。 友達と何となく手に取って、「朝起きると、グレーゴル・ザムザは一匹のいも虫になっていた」というところから、面白いねえとふたりで読んだが、数ページで文章がややこしく感じられ、手放した本。あれから30年近く過ぎ、…

モンテーニュの肖像画

ひとりよがりな世界観、厭世観めいたものに捕われて、では自分は何をする?といった焦り・切羽詰まりに陥った時、「帽子を被ったモンテーニュ」の肖像画にホッとする。 中公クラシックス「エセー」の表紙裏にある、小さな写真のような肖像画。どこか冷淡で、…

モンテーニュ

ミシェル・ド・モンテーニュは大貴族だった。赤ん坊の頃は、「穏やかな目覚めは教育に良い」という理由から、父が数人の演奏者を雇い、毎朝モンテーニュの眠るゆりかごへ音楽を奏でさせた。祖父の代から、その財を築き上げたらしい。父はボルドー市長となり…